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HOJO HOUSE · SADO ISLAND
佐渡島 北條家住宅
佐渡・泉の里山に佇む北條家住宅。
ひとりの僧侶から始まった医家の物語。

寛文3年(1663年)。
丹波の寺院の住職だった北條道益は、寺領をめぐる争いで越訴に及び、佐渡へ流されました。
島で医業を営むようになった道益は、相川で人々の病と向き合っていきます。
その患者の一人が、同じく流人の公家、小倉実起。
医師と患者として出会った二人の間には、遠く故郷を離れたという共通の境遇がありました。
治療の経過を伝える病歴書や眼鏡は、二人の関わりを今に伝えています。
やがて道益は泉の地に根を下ろし、北條家は七代にわたる医家となりました。
医学書を開き、薬を調え、家族が暮らす。
建物と道具に残されたのは、一人の人生を越えて積み重なる時間です。
この家の物語は、今も続いています。
長い年月の風雨や積雪は、建物に傷みを残します。
2022年12月の大雪では、主屋北側の屋根が大きく損傷しました。
茅葺屋根、雨漏りの影響を受けた天井や壁、建物を支える部材。
傷みを確かめ、残せるものを守りながら修理する計画がまとめられています。

医療の歴史を学び、佐渡の草花や暮らしに触れ、人が出会う。
文化財の保存を大切にしながら、学びや交流の場を育てることを構想しています。
その景色は、これから少しずつ、かたちになっていきます。

茅葺の屋根は、雨や雪を受けとめながら、少しずつ姿を変えていきます。
家は、そこに暮らす人よりも長く生きつづける。
だからこそ、誰かが手を入れ、次の季節へとつないでいかなければなりません。
幾世代もの家族が暮らしを重ねてきたこの家に、
いま、保存修理という節目が訪れています。
受け継いだ柱や梁を確かめ、残せるものを生かしながら。
三百五十年の時間を、次の世代へ手渡すために。

歴史的な部材を見極める技術。
医学資料を読み解く知識。
泉の土地に暮らしてきた記憶。
文化財の保存には、異なる立場の人々の力が重なります。
所有者、修理に携わる人、研究者、地域の人々。
それぞれの仕事と、この場所との関わりを、活動の記録で伝えていきます。
屋根を葺き、柱を継ぐのは職人の手です。
けれど、この家が100年先にも残っていくかどうかは、この家の物語を知る人がどれだけいるかにもかかっています。
受け継がれてきた歴史と、いま進む修理の歩み。
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2028年3月の完了に向けて、主屋の保存修理が始まります。
屋根が葺き替わり、家がよみがえっていく。
その節目を、日付を添えてお伝えします。
この家のことを、身近な誰かに話してみてください。
知る人が一人増えるたびに、この家を次の世代へ渡す力が育っていきます。